放射線療法 T
★放射線治療とは
放射線とは光と同じ空間を伝わるエネルギーの一種であり、電磁波と粒子線の2種類があります。発生方法に様々な種類がありますが、光よりも物質を突き抜ける力が強く、目に見えず、体に感じないというような特徴があります。
現在、放射線治療に使われる電磁波としてはX線、γ線があり、粒子線としては電子、陽子、中性子があります。
x線、ガンマ線、中性子線は、身体表面近くで最も強く、深く進むにつれて減弱します。一方、陽子線や重粒子線の場合、エネルギーに応じてある深さで急に強くなるが、その前後は弱いという特徴をもっています。
このような違いにより、x線、ガンマ線、中性子線は、深部を治療する際、それに至るまでに正常細胞が障害を受けることになります。陽子線、中性子線はピークの部分を患部にあわせることで正常の組織の障害を少なくすることが出来ます。
現在においては、それぞれの特徴を元に治療に活用されています。
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放射線
の種類 |
エネルギー (乾電池1.5V) |
放射線を |
概要 |
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γ(ガンマ)線
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約80万個 |
テレコバルト線源(60Co)
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皮膚など体の表面から浅い細胞に副作用が出る場合がある ガンマナイフといわれるコバルト60を放射する治療装置がある。 原理としては線源を半球状に201本に分散配置し装着したヘルメットの1点に放射線が集中するように設計してあり、ヘルメットをかえて、4mm、8mm、14mm、18mm、の4種の楕円焦点を使い分けることにより頭蓋内の病巣に正確に照射。 |
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X線
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数100万個〜数1000万個 |
・リニアック
・マイクロトロン |
リニアックにて加速された電子をターゲットを呼ばれる物質に当ててできるX線を利用。 腫瘍が深いところにある場合には、皮膚など手前の正常な細胞に多く放射線が当たってしまい、副作用が出やすいというデメリットがある。 |
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電子線 |
数100万個〜数1000万個 |
・リニアック |
リニアックにて加速された電子線を利用。 電子線は飛程が短く、表層ですべてのエネルギーを与え、それより深層にエネルギーを与えない。 したがって比較的表在性の悪性腫瘍の治療に用いられている。 腫瘍細胞が体の深いところにある場合、皮膚からがん細胞手前までの正常な細胞にダメージを与える場合がある。 |
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速中性子線
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数1000万個 |
・サイクロトロン
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ガンマ線やX線、電子線と比べて腫瘍細胞を壊す効果が高い。 酸素が少ない場所での細胞に効果的(一般に酸素が少ないとX線での治療は効果があまり期待できない) 中性子は非電荷であり線量分布は体内の浅いところで最大となる。 体の中ではX線や電子線とほぼ同じような広がりがあるので、腫瘍細胞が深いところにある場合には、副作用が出る可能性がある。 |
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陽子線*
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数億個 |
・サイクロトン
・シンクロトロン |
水素原子の原子核であり、正の電荷をもつ陽子を加速して高速にしたものを使用する。 荷電粒子の特徴は一定の深さ以上には進まないということとある深さにおいて最も強く作用することである。このことから、まわりに弱い組織がある場合の治療に使われる。 また、浅いところの正常な細胞を避けて、深いところにあるがん細胞を効果的に壊すという特色がある。 |
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重粒子線*
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超高エネルギー |
・シンクロトロン
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* 陽子線治療
現在、国内では放射線医学総合研究所や国立がんセンター東病院、筑波大学陽子線医学利用研究センターにて治療が行われています。
また、兵庫県立粒子線治療センターや静岡がんセンター、若狭湾エネルギー研究センターにて治療の開始が予定されています。
* 重粒子線治療
国内では、平成6年より 放射線医学総合研究所にて実際に治療が始まり、行われています。
兵庫県立粒子線治療センターでも、この治療が開始されました。
☆ 放射線の基礎知識
(経済産業省・原子力のページ 製作協力 放射線医学フォーラム)
「RADIATION FRONTIER」 上記ページのメインページです。
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★放射線治療の目的と照射方法
放射線治療での目的は根治照射と予防的照射、対症的照射があります。その目的によって、照射する範囲や照射する放射線の量などが変わります。
根治照射とは治癒を目的としての照射の事です。腫瘍の感受性が中度以上のもので、大きさが規定内ものに限られます。この場合では比較的多くの放射線を照射する為、副作用が強く現れることがあります。
予防的照射とは、手術の後、再発を予防する目的で照射する事です。他の治療法と放射線療法を組み合わせて(集学的治療)、再発を予防することが目的です。
対症的照射(姑息的照射)では腫瘍により発生する苦痛の消失や軽減、腫瘍の増殖を抑制し延命をはかるなどを目的として行われる照射の事です。この場合、一般的に根治照射の1/2の放射線の量を与えなければ効果はなく、2/3の放射線の量を与えないと効果が持続しないと言われています。
照射方法として、全脳照射、拡大局所照射(浮腫および周辺2cm程度を含めて照射)、局所照射、定位放射線治療があります。
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放射線療法については、腫瘍の種類によって効果の有無が違い、確定付けも賛否両論に分かれており、判断が検討されています。
放射線照射の副作用としては、放射線壊死が知られており、照射野で主に白質の壊死が生じます。高齢者の全脳照射では脳萎縮と痴呆が著明になるため、照射を局所に限定し、線量も減らす処置がとられています。また、視床下部〜下垂体系に照射が加わると下垂体機能が低下するため、成長期の若年者には照射を先送りする場合があります。
正常脳組織に対する障害を防ぐために、リニアック(直線加速放射線照射装置)を用いた方法(定位放射線治療)を中心に行われています。ガンマーナイフも放射線を用いた治療であり、集中して照射することによって腫瘍の組織を壊死させます。
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★放射線治療の例
| 髄芽腫 | 放射線感受性が高い。 術後に化学療法を併用した、全中枢神経照射30Gy/3〜4週と、局所照射に30Gyを行う。局所のほかに全脳・全脊髄にも照射を行う。 約35Gyの全頭部放射線照射、15Gyの後頭蓋窩照射、約35Gyの脊髄照射。 |
| 星細胞腫 | グレードTは照射の必要なし。グレードUは50〜60Gyの局所照射を行う。 グレードVは拡大局所照射40〜50のあと、局所照射20程度、合計60〜70を照射する。 |
| 神経膠芽腫 | 拡大局所照射40〜50Gyのあと、局所照射20Gy程度、合計60〜70Gyの照射する。拡大照射の際、浮腫を確実に含めた照射が必要。 |
| 下垂体腺腫 | 手術後の残存腫瘍に50Gy/5週の局所照射を行う。照射後の再発は少ない。 |
| 髄膜腫 | 全摘出出来れば、照射の必要はない。残存腫瘍や悪性髄膜腫に対して、50〜60Gy程度の局所照射を行う。定位放射線治療も行われる。 |
| 頭蓋咽頭腫 | 残存腫瘍に対して、50〜60Gy/5〜6週程度の局所照射を行う。 |
| 脊索腫 | 残存腫瘍に対して、60〜70Gy/6〜7週程度の局所照射を行う。定位放射線治療、陽子線治療も有効。 |
| 胚細胞系腫瘍 | 胚芽腫(ジャーミノーマ)は放射線感受性が高い。 化学療法後、30〜50Gyの拡大照射が行われることが多い。手術を行わずに放射線だけで治療するケースもある。 |
| 神経鞘腫 | 2.5〜3cm以下のものや、術後の残存腫瘍に対し、定位放射線治療(特にガンマーナイフ)を行う。 |
| 悪性リンパ腫 | 放射線感受性が高い。 全脳または全中枢神経照射で、40Gy以上の照射が必要。 |
| 転移性脳腫瘍 | 手術の代わりに、定位放射線治療が行われることも多くなってきている。 多発の脳転移の場合は手術や定位照射をせずに、40Gy/4週の全脳照射が行われる場合もある。 QOLを考えて治療の選択がなされる。 |
*注 この表に記載した内容は定例的な治療ですので、それぞれのケースにあわせて十分に検討のうえ、治療が選択されることが望まれます。
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